建築関連の資格「インテリアプランナー」は、合格率が20%台の難関資格です。インテリアプランナーの資格を取得すると、どんな知識や技術を習得できるのでしょう。新設された「アソシエイト・インテリアプランナー」についても併せて解説します。建築業界に関心がある人は参考にしてくださいね。
インテリアプランナーとは、どんな資格?
インテリアプランナーとは、高品質で魅力的なインテリア空間をトータルに実現するための設計能力を持った資格者を指します。建物の使いやすさや安全性を確保しつつ、居住者や使用者が快適でいられるようなインテリア空間を実現することが仕事です。
- インテリアプランナーの仕事
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- インテリアのデザインイメージ作り
- インテリアエレメントのコーディネート
- インテリアのリフォームの提案・設計
- インテリアの維持・管理の提案・計画
- インテリアの設計図書の作成(空間構成、室内環境・設備の計画及び設計、内装構法や仕上げ材料の選択、インテリアエレメントのコーディネート等)
- インテリアの工事監理
インテリアプランナーの資格は、昭和62年度に創設されました。平成12年度までは国土交通大臣が認定する事業として資格試験が実施されてきましたが、平成13年度からは公益財団法人 建築技術教育普及センターが独自に実施する資格となりました。令和3年10月時点で、インテリアプランナーの登録者は5,900名となっています。
インテリアプランナーには、次のような能力が求められます。
- インテリアプランナーに求められる能力
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- インテリア設計などに関する知識・技能
- 建築物の構造や設備との関係を把握し、安全性、快適性、環境等に配慮したインテリア空間の計画及び設計並びにインテリアエレメントのコーディネート、さらにはリフォーム、維持・管理等に関する知識及び技能
平成28年度からは、インテリアプランナーになるための前段階の称号として「アソシエイト・インテリアプランナー」という資格が創設されました。
- アソシエイト・インテリアプランナー(准インテリアプランナー)
- アソシエイト・インテリアプランナーは、建築士やインテリアプランナーの指導のもと、インテリア設計等の補助業務を行うことができます。学科試験の合格者は、アソシエイト・インテリアプランナー(AIP)に登録可能。
アソシエイト・インテリアプランナーの登録者の平均年齢は26歳で、約70%が学生というデータが発表されています。これから建築士やインテリア業界を目指す若者が取得を目指している資格といえるでしょう。
学ぶ知識・技術
インテリアプランナーになるには、試験に合格し、所定の実務経験を満たす必要があります。インテリアプランナーの試験では、学科試験と設計製図試験が出題されます。原則、学科試験の合格者のみが設計製図試験を受験することができます。
学科試験
出題数は50問(四肢択一式)、試験時間は2時間30分です。出題内容は下記のように定められています。
- インテリア計画
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- 歴史・意匠
- 計画
- インテリア装備
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- 構法
- エレメント
- 防災安全
- インテリア施工
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- 工事監理・施工管理
- 各種インテリア工事
- 積算・契約
- 材料
- インテリア法規
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- 関連法規
- 建築一般
- 建築計画
- 建築構造
- 建築施工
設計製図試験
設計製図試験では設計課題は事前に公表されます。試験当日の試験時間は6時間です。
- 出題内容
- 建築物における空間の使われ方、生活のイメージが判るようなインテリア設計
インテリアプランナーの参考書『インテリアプランナーガイドブック』
インテリアプランナー資格試験について、学習参考書『インテリアプランナーガイドブック』が発売されています。資格制度の概要、試験概要、試験データ、出題範囲、過去問題・正当肢・解答例・解説などが掲載されていますので、学習に役立てましょう。ガイドブックは『学科試験編』と『設計製図試験編』が発売されています。
- 『インテリアプランナーガイドブック 学科試験編』:2,750円(税込)
- 『インテリアプランナーガイドブック 設計製図試験編』:3,630円(税込)
インテリアプランナーで目指せる職業、就職先は?
インテリアプランナーの登録者の約80%は建築士です。業種としては、下記の仕事に携わる人たちがインテリアプランナーの資格を取得しています。インテリアプランナーの資格を取得すると、このような業界で資格を役立てることができるでしょう。
- インテリア設計・施工会社
- 建築設計事務所
- 総合建設業
- プレハブ会社
- 不動産業
インテリアプランナーを取得するとどんな悩みが解決できる?
インテリアプランナーの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- インテリアプランナーが解決できること
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- 安全で使いやすいインテリア空間を実現する
- 環境に配慮したインテリア空間の実現をサポートする
- 居住者や使用者の要望をヒアリングし、建築に関する適切な提案をできる
インテリアプランナーの資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
インテリアプランナーの受験資格については、年齢制限がありません。誰でも受験可能です。建築士(一級・二級・木造建築士)とアソシエイト・インテリアプランナーは、学科試験が免除となり、設計製図試験から受験可能です。また、当該年度及び前4年度の学科試験の合格者も学科試験が免除されます。
試験の合格者は、合格した日から5年以内に新規登録をしなければ称号が付与されませんので注意してください。登録には下記の要件を満たす必要があります。
- インテリアプランナー登録要件(試験の合格者が対象)
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- 学歴を有する者(大学、高等学校、専門学校等のインテリア又は建築に関する課程を修めて卒業した者)
- 建築士の資格取得者
- インテリアに関する実務経験のある者(2年以上)
取得にかかる費用
インテリアプランナーの試験の受験料は、学科試験と設計製図試験で下記のように定められています。
- 学科試験:9,000円(税別)
- 設計製図試験:15,000円(税別)
- 学科・設計製図試験:24,000円(税別)
試験の合格者は、登録をする際に登録料の支払いが必要となります。
- インテリアプランナー
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- 新規登録:10,000円(税別)
- 更新講習・更新登録:20,000円(税別)
- 再登録:20,000円(税別)
- アソシエイト・プランナー
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- 新規登録:2,000円(税別)
- 更新講習・更新登録:9,000円(税別)/li>
インテリアプランナー試験の日程
インテリアプランナーの試験は年一回開催されます。受験を考えている人は、申込の時期を逃さないように注意しましょう。
インテリアプランナーはどんな人におすすめの資格?
インテリアプランナーの合格率は、学科試験が60%~70%、設計製図試験が25%前後です。合格者は少なく、難関試験といえます。試験合格にはしっかりとした準備が必要です。
建築業界では、新築のみならずリフォームやリノベーションが積極的に進められています。インテリア設計では安全性はもちろんですが、住みやすさや使い心地、居住者や使用者のこだわりも欠かせません。高い専門知識と技術を習得したインテリアプランナーは、依頼人が満足するインテリア空間の実現をサポートすることが求められます。
- インテリアプランナーの資格取得がおすすめな人
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- 建築士の資格保有者
- 建築士として実務経験を積んでいる人
- 建築業界への就職を目指す学生
- 建築を通して、人々の暮らしを充実させたい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
インテリアプランナーの資格試験を実施しているのは、公益財団法人 建築技術教育普及センターです。試験の詳細については下記HPから確認してください。
まとめ:知識やスキルを習得して暮らしを豊かにするインテリアプランナーに!
インテリアプランナーはこれからの時代もニーズが見込める仕事であり、やりがいも大きいのがメリットです。建築士の資格を保有している人、建築業界への就職を目指す人はぜひ取得を目指してみてください。
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