グローバルな働き方を目指す人に人気の業界のひとつが貿易関連業界です。国際的な商取引を行う貿易では、どんな知識やスキルが求められるのでしょう。
この記事では、貿易実務検定という資格について、試験概要や習得できる知識などを紹介します。
貿易実務検定とは、どんな資格?
貿易実務検定は、貿易のエキスパートに求められる実務遂行能力や知識を客観的に測る検定試験です。この試験は平成10年3月に第1回試験が実施され、平成30年5月の時点で累計約20万人の受検者が検定にチャレンジしてきました。
検定はレベルに応じてA級からC 級に分かれており、A級が最も難易度の高い級です。
- A級
- 概ね、3~4年以上の実務経験相当のレベル。貿易実務において判断業務を行うことができる実力を証明できる
- B級
- 概ね、1~3年以上の実務経験相当のレベル。想定される対象者は、貿易実務経験者の中堅層
- C級
- 定型業務をこなすために必要な知識があることを証明するレベル
学ぶ知識・技術
貿易実務検定試験では、貿易実務に関する分野から試験問題が出題されます。
マーケティング、商談、契約、代金決済、クレームなど幅広い分野について、各等級で出題範囲が設定されます。
A級(試験時間:3時間10分)
- 貿易実務
- 貿易と環境(基礎)、貿易経済知識、貿易の流れ、貿易金融、貿易書類、貿易法務、貿易税務、通関知識、貿易保険、外国為替、航空貨物、クレーム
- 貿易マーケティング
- 貿易実務英語
- 商業英単語、英文解釈、英作文
B級(試験時間:2時間45分)
- 貿易実務
- 貿易と環境(基礎)、貿易経済知識、貿易の流れ、貿易金融、貿易書類、貿易法務、通関知識、貿易保険、外国為替、航空貨物、クレーム
- 貿易マーケティング(基礎)
- 貿易実務英語
- 商業英単語、英文解釈
C級(試験時間:2時間15分)
- 貿易実務
- 貿易と環境(基礎)、貿易経済知識(基礎)、貿易の流れ(基礎)、貿易金融(基礎)、貿易書類(基礎)、貿易法務(基礎)、通関知識(基礎)、貿易保険(基礎)、外国為替(基礎)、航空貨物(基礎)、マーケティング知識(基礎)
- 貿易実務英語
- 商業英単語(基礎)、英文解釈(基礎)
各級の合格率の目安は下記の通りです。
- A級:25%~40%
- B級:40%~60%
- C級:50%~75%
貿易実務検定で目指せる職業、就職先は?
貿易実務検定を取得すると、貿易会社や商社への就職に役立つでしょう。そのほか、メーカーなど国際取引のある企業や部署への就職においても役立つことがあります。
就職や転職で自己アピールとする場合、B級以上の取得がおすすめです。
貿易実務検定を取得するとどんな悩みが解決できる?
貿易実務検定を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 貿易実務検定が解決できること
-
- 適正な貿易知識を習得し、国を越えた物流を支える
- 貿易に関する法務などを理解し、トラブルを未然に防ぐ
貿易実務検定の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
貿易実務検定の試験の受験資格には、年齢や国籍などの制限はありません。社会人だけでなく、学生の受験者もいます。
また、実施日と受験地が同じであり、受験地で複数の級の試験が実施される場合、A級とB級の併願、B級とC級の併願が可能です。
貿易実務検定の科目免除資格
貿易実務検定B級の「貿易マーケティング」科目に関して、下記の要件を満たす人は試験の免除を受けられます。
- 国際実務マーケティング協会が主催する「マーケティング・ビジネス実務検定」A級・B級・C級試験のいずれかの合格者
科目試験免除の対象者は、その後1年間で実施される貿易実務検定B級の「貿易マーケティング」科目の免除を受けられます。ただし、申込時に自己申告が必要です。
取得にかかる費用
貿易実務検定の検定料は、各級と併願の場合で下記のように定められています。
- A級
- 11,600円(税込12,760円)
- B級
- 6,800円(税込7,480円)
- C級
- 5,700円(税込6,270円)
- A級・B級併願
- 18,400円(税込20,240円)
- B級・C級併願
- 12,500円(税込13,750円)
貿易実務検定試験の日程
貿易実務検定は年に複数回、試験が実施されます。受験級によって試験日は異なります。
貿易実務検定はどんな人におすすめの資格?
貿易会社や商社、メーカーなどで働く人で、貿易に携わる業務を担当している場合、貿易実務検定は知識と実務能力を磨くことのできる試験といえます。貿易に携わる業界は比較的年収が高めですので、資格取得によるキャリアアップや転職を目指せば、収入アップも見込めるでしょう。
企業ではなく、個人で輸入をしている人もいます。一連の業務を問題なく行うためにも、貿易実務検定は個人輸入を営んでいる人にもおすすめの資格です。
また、貿易関連業務は英語や中国語など外国語も必要になります。取引でよく使用する言語のスキルアップをすることで、業務がよりスムーズに進むでしょう。
通関士資格の取得と合わせて貿易実務検定を取得すると、貿易について高い専門性を身につけることができます。
- 貿易実務検定の資格取得がおすすめな人
-
- 貿易関連業務に携わる人
- 通関関連業務に携わる人
- 個人輸入を行っている人
- 通関士を目指す人
- 英語や中国語など外国語を磨きつつ、貿易関連業務のスキルアップを目指す人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
貿易実務検定の試験を実施しているのは、日本貿易実務検定協会です。試験の詳細や申込については下記HPから確認してください。
まとめ:国際的な仕事である貿易のスペシャリストを目指そう
いまや貿易はさまざまな業界の流通を支え、人々の暮らしを豊かにしています。貿易に関する知識とスキルを持った人材は需要が高く、高い年収も期待できます。キャリアアップ・スキルアップのためにも、貿易実務検定の取得を検討してみてくださいね。
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