IT業界への就職や転職を目指す人、またITエンジニアになりたい人にとって必須レベルの国家資格が「基本情報技術者」です。今回は、基本情報技術者とはどんな仕事をする資格か、必要な知識や取得後のメリット、就職先などを紹介していきます。
基本情報技術者とは、どんな資格?
基本情報技術者とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家資格です。
基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が試験を実施している情報処理技術者試験の一つで、最も基礎的なIT知識を問う試験になります。ITエンジニアを目指す人が、最低限身につけるべき知識を一通り学べる登竜門的な国家試験で、例年10万人近くが受験する人気の資格です。
似たようなIT系の人気国家資格で「ITパスポート」もありますが、ITパスポートが「ITを利用する側」の資格であるのに対し、基本情報技術者試験は「IT技術を提供する側」の資格といえます。
学ぶ知識・技術
基本情報技術者試験は、「IT業界で働くならここは最低限理解しておきたい」という基礎知識を網羅する試験科目で構成されています(ハードウェア、ソフトウェアの基本的な仕組みや動作、プログラム作成時の考え方や命令文など)。
試験内容は、「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」「コンピュータシステムに関すること」「情報セキュリティに関すること」「データ構造及びアルゴリズムに関すること」「ソフトウェア設計に関すること」「ソフトウェア開発に関すること」「マネジメントに関すること」「ストラテジに関すること」と多岐の分野にわたります。
テクノロジ系
ハードウェアからプログラミング・アルゴリズムなど、IT技術に関する幅広い基礎知識が問われます。
- 基礎理論
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- 基礎理論:離散数学、応用数学、情報に関する理論、通信に関する理論、計測・制御に関する理論
- アルゴリズムとプログラミング:データ構造、アルゴリズム、プログラミング、プログラム言語、その他の言語
- コンピュータシステム
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- コンピュータ構成要素:プロセッサ、メモリ、バス、入出力デバイス、入出力装置
- システム構成要素:システムの構成、システムの評価指標
- ソフトウェア:オペレーティングシステム、ミドルウェア、ファイルシステム、開発ツール、オープンソースソフトウェア
- ハードウェア
- 技術要素
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- ヒューマンインタフェース:ヒューマンインタフェース技術、インタフェース設計
- マルチメディア:マルチメディア技術、マルチメディア応用
- データベース:データベース方式、データベース設計、データ操作、トランザクション処理、データベース応用
- ネットワーク:ネットワーク方式、データ通信と制御、通信プロトコル、ネットワーク管理、ネットワーク応用
- セキュリティ:情報セキュリティ、情報セキュリティ管理、セキュリティ技術評価、情報セキュリティ対策、セキュリティ実装技術
- 開発技術
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- システム開発技術 :システム要件定義、システム方式設計、ソフトウェア要件定義、ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計、ソフトウェア構築、ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト、システム結合・システム適格性確認テスト、導入、受入れ支援、保守・廃棄
- ソフトウェア開発管理技術:開発プロセス・手法、知的財産適用管理、開発環境管理、構成管理・変更管理
マネジメント系
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなどの問題が出題されます。
- プロジェクトマネジメント
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- プロジェクトマネジメント:プロジェクトマネジメント、プロジェクト統合マネジメント、プロジェクトステークホルダマネジメント、プロジェクトスコープマネジメント、プロジェクト資源マネジメント、プロジェクトタイムマネジメント、プロジェクトコストマネジメント、プロジェクトリスクマネジメント、プロジェクト品質マネジメント、プロジェクト調達マネジメント、プロジェクトコミュニケーションマネジメント
- サービスマネジメント
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- サービスマネジメント:サービスマネジメント、サービスの設計・移行、サービスマネジメントプロセス、サービスの運用、ファシリティマネジメント
- システム監査:システム監査、内部統制
ストラテジ系
企業活動や法務、システム戦略、企画などに関する問題が出題されます。
- システム戦略
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- システム戦略:情報システム戦略、業務プロセス、ソリューションビジネス、システム活用促進・評価
- システム企画:システム化計画、要件定義、調達計画・実施
- 経営戦略
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- 経営戦略マネジメント:経営戦略手法、マーケティング、ビジネス戦略と目標・評価、経営管理システム
- 技術戦略マネジメント:技術開発戦略の立案、技術開発計画
- ビジネスインダストリ:ビジネスシステム、エンジニアリングシステム、e-ビジネス、民生機器、産業機器
- 企業と法務
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- 企業活動:経営・組織論、OR・IE、会計・財務
- 法務:知的財産権、セキュリティ関連法規、労働関連・取引関連法規
基本情報技術者で目指せる職業、就職先は?
基本情報技術者はITエンジニアの登竜門とされる資格なので、取得するとIT系企業への就職が有利になり、具体的には下記のような職業を目指せます。
- プログラマー
- プログラマーは、プログラム言語を用いてシステムやソフトウェアを組み上げる仕事なので、資格試験で得た知識が役立ちます。
- システムエンジニア
- システムエンジニアはプログラマーのマネジメントを行い、プロジェクト全体の進捗を管理する仕事です。プログラマーが下流工程を担当するのに対し、システムエンジニアは上流工程を担当します。
- アプリケーションエンジニア
- アプリケーションの開発を担当するエンジニアで、資格試験で学ぶ要件定義や保守などの知識が役立ちます。
- サーバーエンジニア
- サーバーエンジニアは、サーバーシステムの設計や負荷分散、障害発生時の対応、セキュリティ対策など幅広く、専門的な知識が求められる仕事です。資格試験で学ぶ知識が必ず活かされます。
- WEBデザイナー
- WEBデザイナーは、Webページのデザインだけでなく、データの書き出しを行う「コーディング」も行います。仕事の土台にIT知識は必須のため、資格を取得していると転職や就職で有利に働くことでしょう。
基本情報技術者になるとどんな悩みが解決できる?
基本情報技術者としての知識があると、下記のような悩みの解決に役立ちます。
- 基本情報技術者が解決できること
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- クライアントが直面している課題に対して、情報技術を活用した戦略立案を立てることができる
- エンジニアとして、システムの設計・開発を行い、信頼性・生産性の高いシステムの構築をする
- 構築したシステムの運用や保守をサポートする
基本情報技術者の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
基本情報技術者試験は、IT業界の登竜門的な試験なので、受験資格はなく、年齢や学歴、職歴を問わずどなたでも受験できます。
取得にかかる費用
基本情報技術者試験の受験料は、5,700円(税込)です。
基本情報技術者はどんな人におすすめの資格?
基本情報技術者は、「将来、システムエンジニアやプログラマーを目指している」「これからIT業界に勤めて、情報処理に関わることになった」という人におすすめの入門資格です。
また、ITパスポートの資格を持っている人も、基本情報技術者の資格取得によってできる業務や知識の幅が広がるので、取得がおすすめです。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
基本情報技術者の試験を実施・資格を管理しているのは、「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」です。試験は例年4月と10月の年2回実施されますが、その年の試験日程や会場、必要な受験申請手続きなどについては、下記の公式HPからご確認ください。
まとめ:IT業界への入門試験として、基本情報技術者試験にまずはチャレンジ!
基本情報技術者は、IT業界への転職や就職を目指す人にとっては登竜門的な国家資格で、試験勉強を通じて基礎知識を習得することができます。受験資格は不要で、独学でもきちんと勉強すれば合格できるので、今後エンジニアやWeb業界での活躍を目指している人は、ぜひ取得に向けてチャレンジを!
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