地域の空き家問題やシャッター商店街などの課題に対して、都市の再開発事業が役立つことがあります。この記事では都市再開発事業に関する国内唯一の専門技術者「再開発プランナー」の資格試験について解説します。
再開発プランナー試験とは、どんな資格?
再開発プランナーとは、一般社団法人 再開発コーディネーター協会が主催する資格で、都市再開発事業に関する知識を習得した人に与えられる、国内唯一の再開発専門技術者の称号です。
再開発プランナーの有資格者には、再開発事業に関する下記の知識やスキルが求められます。
- 事業計画(資金計画)
- 権利変換計画
- 都市再開発事業の企画
- 行政や地域との調整 など
現在、約4,000名近くの再開発プランナーがさまざまな業界で活躍しています。
学ぶ知識・技術
再開発プランナーの資格を取得するためには、筆記試験と実技試験に合格し、実務経験審査に合格する必要があります。
筆記試験
出題形式は、原則として四肢択一式です。出題内容は下記の分野で構成されます。
- 市街地再開発事業及びマンション建替え事業に係る法律等
- 都市再開発法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律、市街地再開発事業及びマンション建替え事業に係る補助・融資・税制等
- 都市計画法等関連法規
- 都市計画法、建築基準法、土地区画整理法、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、都市再生特別措置法、その他都市再開発の事業に係るもの
- 不動産関連法規
- 建物の区分所有等に関する法律、借地借家法、不動産登記法、民法、その他都市再開発の事業に係るもの
- 評価・補償
- 不動産鑑定評価基準、国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準、その他都市再開発の事業に関する評価・補償
- その他 都市再開発に関連する基礎知識
- 都市づくりの理念・歴史、不動産証券化等のファイナンス等 都市再開発に関連する基礎知識
実技試験出題形式
記述式を含む筆記試験の形式です。出題内容は下記のように構成されています。
- 出題内容
- 市街地再開発事業及びマンション建替え事業の手続き、事業計画及び権利変換計画の作成並びにその他の都市再開発の事業の企画、事業計画及び権利調整に係ること
実務経験審査
実務経験審査は、書類審査及び面接審査が行われます。
登録
実務経験審査の合格者は登録を行うことで、一般社団法人 再開発コーディネーター協会に備える「再開発プランナー登録簿」に登録されます。
再開発プランナーの技術維持講習とは
再開発プランナー試験では、筆記試験合格者は、筆記試験合格日から3年後の9月30日までに行われる実務経験審査に合格し、登録を受けることができます。
筆記試験合格者が、3回ある機会のいずれにも実務経験審査を申し込まなかった場合は、実務経験審査期間満了前に「技術維持講習」を受講することで、期間満了の日から3年後の9月30日まで、実務経験審査受験期間を延長することができます。この措置は、実務経験審査で不合格になった場合も該当します。技術維持講習は有料(税込22,000円)です。
筆記試験合格者が実務経験審査に合格せず、技術維持講習も受けない場合、筆記試験合格日から3年後の9月30日を経過したときに、筆記試験合格は失効します。
再開発プランナー試験で目指せる職業、就職先は?
再開発プランナーの受験者は、下記の業界に所属しています。
- コンサルタント業界
- 建設業界
- 不動産業界
- 金融機関
- 商社
- 公務員 など
再開発プランナー試験を取得するとどんな悩みが解決できる?
再開発プランナーの資格を取得すると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 再開発プランナー試験が解決できること
-
- 老朽化した建物の再活用を促す
- 街の防災性の向上を図る
- 再開発における権利者との権利調整を図る
- 人口減や高齢化が進む街の、まちづくりを促進する
再開発プランナー試験の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
再開発プランナーの筆記試験の受験資格は、試験を受ける年の4月1日現在で満20歳以上であることです。
再開発プランナー試験の実務経験審査の受験資格
再開発プランナーの実務経験審査の受験資格は、筆記試験合格者であることに加え、3年以上の実務経験の有無が、書類審査及び面接審査によって審査されます。なお、書類審査により実務経験を有すると認められた場合は、面接審査が免除されます。
- 審査の対象となる実務経験について
-
- 実務経験とは、都市再開発法に基づく市街地再開発事業等に限定されず、広く都市の環境形成につながる土地や建物に係わる事業の企画、調査、計画、設計、工事、権利調整、資金調達、販売、管理運営等の業務に携わった経験を指す
- 上記業務に係わる行政経験、大学等における大学卒業後の研究活動も実務経験の審査の対象となる
- 上記業務に準ずる、大学院(修士課程又は前期博士課程)の研究活動は、その期間を実務経験年数1年とみなす。大学院(修士課程又は前期博士課程)を実務経験に含める場合は、「実務経験申告書」の欄に期間、研究テーマを記載し、その研究内容を「実務経験レポート」に必ず記述すること
- 審査の対象となる実務経験は、筆記試験合格の前後を問わず、満23歳に達する年度の4月1日以降のものでなければいけない
取得にかかる費用
再開発プランナー試験の受験費用は、22,000円(税込)です。筆記試験受験案内書は、1部につき1,300円(税込)がかかります。実務経験審査申込み時の登録手数料は、16,500円(税込)です。
再開発プランナー試験の日程
再開発プランナー試験は、筆記試験の目安が8月、実務経験審査が11月〜12月の間に行われます。筆記試験の受験地は、東京、大阪のいずれかの希望地です。
再開発プランナー試験はどんな人におすすめの資格?
日本全国で地域の高齢化や過疎化、空き家問題、商店街の利活用という課題が発生しています。都市再開発事業はそうした課題に対して、ときには地域や行政と連携しながら、建築物や空間をいかにして利活用していくかを考えていくプロジェクトです。
再開発プランナーは、都市再開発事業に関する国内唯一の専門技術者として高い信頼性を得ることができます。経験や専門知識を駆使し、その街の課題を抽出するとともに、ポテンシャルを引き出す事業計画や企画立案が期待されます。
今後も高い需要が見込まれる分野の仕事であり、就職先の規模によっては、平均年収よりも高い水準の給与を得ることができるでしょう。
再開発プランナーの活動領域のうち特にマンション建替えに関しては、「再開発プランナー」の資格を取得後、所定の研修を修了した場合、「URCAマンション建替えアドバイザー」として登録されます。
- 再開発プランナー試験の資格取得がおすすめな人
-
- 都市再開発事業に携わる人
- スキルアップを目指す人
- キャリアアップを目指す人
- 収入アップを目指す人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
再開発プランナー試験を主催しているのは、一般社団法人 再開発コーディネーター協会です。試験の詳細や申込については、下記URLから確認してください。
まとめ:都市開発のスキルアップとキャリアアップに!
都市再開発事業はこれからの時代も需要が見込まれるお仕事です。再開発プランナーの資格を取得して、活躍できる人材を目指すのもおすすめですよ。
コメント