ショッピングモールやデパートは小さな子どもからお年寄りまでたくさんの人が集まる空間です。
そんな商業施設の運営管理や構成に関する仕事のプロフェッショナルが「商業施設士」です。この記事では商業施設士の試験概要や受験資格の要件などを紹介します。
商業施設士とは、どんな資格?
商業施設士とは、さまざまな商業施設の運営管理システムや店舗の構成・デザインなどについて、総合的に計画や監理を行う専門家です。
商業施設士の仕事内容は主に下記となります。
- 商業施設や店舗の空間構成等の企画
- 店内外の装置や設備
- 施設に関するコーディネイト提案
- デザイン、ディスプレイ等の設計
- 施工や監理 など
近年は商業施設などを通したまちづくりや地域振興がさかんです。建物だけでなく、地域の活性化にもつながる仕事でもあります。
学ぶ知識・技術
商業施設士資格試験は、学科試験と構想表現(実技)試験で構成されています。
- 学科試験(120分)
-
- 共通問題
- 全宅問題(生活と商業、企画と計画、施設と設計、監理と施工)
- 構想表現(実技)試験(180分)
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- 図案表現
- 文章表現
商業施設士で目指せる職業、就職先は?
商業施設士の資格を取得すると、下記の業種や職種への就職が見込めます。
- デザイン事務所
- 設計事務所
- 建設・施工会社
- コンサルティング会社
- ショッピングモール
- 独立店舗
- フリーの空間デザイナー
- フリーの店舗プロデューサー
商業施設士になるとどんな悩みが解決できる?
商業施設士になると、下記の悩みや課題の解決に貢献できます。
- 商業施設士ができること
-
- 改装やリニューアルで、商業施設のイメージや利便性を向上させる
- 多様化するニーズに応える空間作りをサポートする
- 高齢者や障害者が安心できる施設作りができる
- 再開発などを通して地域を活性化する
商業施設士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
商業施設士の受験資格は、どの試験を受験するかによって要件が異なります。
- 学科試験のみを受験する場合
- 満20歳以上の人は受験可能。
平成17年度試験において設計製図試験に合格した人、または平成18~30年度試験において構想表現(実技)試験に合格された人は、この区分で受験することができる。 - 学科試験と構想表現(実技)試験を受験する場合
- 満20歳以上かつ「構想表現(実技)試験・受験資格」に該当する人が受験可能。
- 構想表現(実技)試験のみ受験する場合
- 「構想表現(実技)試験・受験資格」に該当する人は受験可能。
平成10年度以降の試験において一次試験に合格した人、平成18~30年度試験において学科試験に合格された人は、この区分で受験可能。
構想表現(実技)試験・受験資格
構想表現(実技)試験・受験資格は、下記の要件を満たす人が受験できます。
最終卒業学校または資格 | 商業施設・関連課程 | 普通課程 | |
---|---|---|---|
学歴・実務 | 大学・短期大学 | 卒業後1年以上の実務経験 | 卒業後2年以上の実務経験 |
高等専門学校 | 卒業後1年以上の実務経験 | 卒業後2年以上の実務経験 | |
専修学校・専門課程 | 卒業後1年以上の実務経験 | 卒業後2年以上の実務経験 | |
高等学校 | 卒業後2年以上の実務経験 | 卒業後3年以上の実務経験 | |
資格 | 1級建築士 | 0年 | |
2級建築士 | |||
木造建築士 | |||
インテリアプランナー | |||
再開発プランナー | |||
中小企業診断士 | |||
1級販売士 | |||
インテリアコーディネーター | |||
商業施設士補 | |||
実務のみ | その他、上記と同等以上と認められるもの | 5年以上の実務経験 |
- 実務経験とは
-
- 設計事務所・デザイン事務所などの他、デパート、スーパーマーケット、ショッピングセンター、中小小売店、及び各種サービス施設において、展示・陳列・装飾・デザイン・店舗監理・工事監理・施工・企画・設計等々の業務に従事されている実務経験を指す
- 商業施設に対してなんらかのかたちで仕事に携わっている者、あるいは携わったことのある者
- 商工会議所・商工会の経営指導者、研究・教育、積算・セールスエンジニアリング等も実務経験とみなす
取得にかかる費用
試験の受験費用は下記の通りです。
- 学科試験のみ:12,960円
- 学科試験と構想表現(実技)試験:21,600円
- 構想表現(実技)試験のみ:12,960円
受験申込では、受験願書と総合案内書が必要となります。事務局で1セットにつき350円で販売されていますが、HPから無料でPDFファイルで閲覧・印刷できます。
商業施設士試験の日程
商業施設士試験は、年2回実施されます。時期は6~7月頃 と 12~1月頃です。
ただし前期試験(6~7月頃)は、学科試験と構想表現(実技)試験が実施され、後期(12~1月頃)は、構想表現(実技)試験 のみが実施されます。
商業施設士補とは
商業施設士補資格とは、商業施設の企画・設計・デザイン・監理などに関する知識を有していることを証明する制度です。
商業施設士補の資格を有していると、商業施設士試験の学科試験が免除されます。
商業施設士補の資格取得は、社団法人商業施設技術者・団体連合会が認める認定校の学生(卒業生含む)であることが求められます。
また、同会が開催する商業施設士補資格講習会を受講修了することにより資格が取得できます。
- 商業施設士補の資格取得の要件
-
- 社団法人商業施設技術者・団体連合会が指定する認定課程の各科目の単位を取得していること
- 学校長の推薦があること
- 学生としての品位を備え、在学中に公序良俗に反する行為等がなく、推薦を受けることが社会感情的にも合致していること
- 商業施設士補資格講習会を受講すること
商業施設士はどんな人におすすめの資格?
近年は、ライフスタイルの多様化や高齢化によるバリアフリーのニーズなどにより、商業施設にはより使いやすくなるように改良・改善が求められることが増えています。
そうした社会の変化に敏感で、人々のためによりよい商業施設作りに関心がある人は、商業施設士に向いているでしょう。
商業施設という建物の企画や監理だけでなく、地域の活性化やまちづくりにも貢献できる仕事です。
企業によっては商業施設士の資格手当や資格取得の奨励制度を設けていることがあります。
商業施設士として実績を積み、フリーランスとして活動する人もいます。
さらなるキャリアアップ・スキルアップを目指す人は「マイスター商業施設士」や「シニア商業施設士」の認定取得もおすすめです。
マイスター商業施設士とは、商業施設・流通サービスについて全般的に広く高度な専門性と見識を持ち、社会に広く商業施設士制度を普及することを通して、商業及びまちづくり等の発展・向上に貢献できる商業施設士に付与される称号です。
「シニア商業施設士」とは、商業施設士としての一定期間の実績を積み、商業及びまちづくりに対して積極的な改善、提案をする意思のある商業施設士に付与される称号です。
- 商業施設士の資格取得がおすすめな人
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- デパートなど商業施設での実務経験があり、キャリアアップを目指す人
- 建築士やインテリアコーディネーターなどの各種関連資格を保有している人
- まちづくりや地域貢献に関心がある人
- 商業施設士補の資格保有者
- 資格を活かして収入アップを目指す人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
商業施設士の試験は、社団法人商業施設技術者・団体連合会が実施しています。試験の詳細や申込は下記HPから確認してください。
まとめ:商業施設士は生活の多様化や高齢化が進む社会で活躍できる仕事
デパートやショッピングセンターなどの商業施設は幅広い人が利用し、生活にはなくてはならないスペースです。時代の変化とともに複雑になる商業施設へのニーズに応えるのが、商業施設士の仕事のやりがいでしょう。すでに関連資格をお持ちの人や商業施設での実務経験がある人はぜひ検討してみてくださいね。
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