競走路の上を自転車で走る競技・競輪を盛り上げる「競輪選手」は国家資格の一つ。社会人から競輪選手デビューを目指す人もいますが、競輪選手にはどんな人が向いているのでしょう。
今回はこの競輪選手になるにはどんな試験に合格する必要があるか、年齢制限の有無、取得のメリットなどを解説します。
競輪選手とは、どんな資格?
競輪選手とは、「トラックレーサー」と呼ばれる競輪専用の自転車に乗り、公営ギャンブルである競輪レースに出場するプロの選手です。実は国家資格で、国家試験で「競輪選手資格検定」に合格しなければなれない狭き門でもあります。
競輪選手の仕事は、「レースに出場し、勝利する」ことです。
レースに出場できる競輪選手は、レースを運営する財団法人「JKA」によって選ばれ、その依頼に承諾することで出場が決まる仕組みになっています。
競輪は3〜4日かけて予選と準決勝、決勝のレースを行い、勝ち続けることで選手としてのランクが上がっていきます。ランクには「S級S班」「S級1班」「S級2班」「A級1班」「A級2班」「A級3班」の6つに分けられ、ランクが上であればあるほど参加できるレースの数も、獲得賞金も増えます。
「S級S班」になると、優勝賞金が1億円のKEIRINグランプリへの出場資格が得られ、さらにレース出場に関する優遇措置やS級レースのシード権、交通費の特別料金支給といった特典があり、年収は1億円を超えるそうです。「S級S班」は9名しか選ばれない難所ですが、これを目指してレースに挑むことが多くの選手たちのモチベーションになっています。
学ぶ知識・技術
競輪選手になるには、日本で一ヶ所しかない「日本競輪選手養成所」に入学し、レースに必要な身体作りや技能、学力、教養を1年間学ぶことが必要です(競輪学校を入学しなくても資格試験の受験は可能ですが、合格例はありません)。
日本競輪学校に入学するには、一般入試で下記の試験に合格する必要があります。
- 一次試験
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- 技能試験(自転車競技で一定の実績がある受験生):スタンディングスタートでの1000mタイムトライアル、400m助走後の200mのタイムトライアル
- 適性試験(その他のスポーツ経験者):垂直跳び、背筋力の測定
- 二次試験
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- (その他のスポーツ経験者のみ)台上走行試験装置を使って軽負荷での最高回転回数、体重負荷での走行速度と仕事量の測定
- (共通)身体検査
- (共通)口頭試問や適性検査、作文などでの人物考査
合格後は養成所での厳しい訓練に耐え、強靭な肉体と精神力を鍛えていくことになります。
競輪選手で目指せる職業、就職先は?
競輪選手は、現役中はプロの選手としてレースに出続け、勝利を収めてランクを上げて賞金を稼ぐのが仕事です。競技寿命はスポーツ界の中でも比較的長いといわれています。
引退の平均年齢は44歳くらいですが、引退後も下記のような就職が目指せます。
- 競輪場の職員
- 競輪場の検車や施設の運営スタッフ、ガイダンスコーナーでのスタッフなど。
- 警備会社
- 元競輪選手を積極的に雇う警備会社もあり、競輪場内外の警備を担当する元選手も少なくありません。
また、現役時代に収入が多かった選手であれば、スポーツクラブの運営など事業を始めることも夢ではありません。
競輪選手になるとどんな悩みが解決できる?
自転車競技はもともとヨーロッパで非常に人気のあるスポーツで、2000年のシドニー五輪からは「ケイリン」が正式種目となりました。競輪選手として活躍することで、下記のような役割ややりがいを感じられることでしょう。
- 競輪選手が解決できること
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- レースやオリンピックなどの舞台で、観客に夢を与えられる
- 競輪の売上金の一部は、社会福祉の増進やものづくりの研究補助、スポーツ支援、非常災害の援護などに活かされるため、社会的に貢献できる
競輪選手の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
競輪選手の資格を取得するには、国家試験である「競輪選手資格検定」に合格する必要がありますが、この試験はどなたでも受験可能です。ただ先ほども述べたように、日本競輪選手養成所に通っていない人の合格者は今まで一人もいないため、実際は養成所に通って訓練を重ねる必要があるでしょう。
日本競輪選手養成所の受験資格
日本競輪選手養成所は、入所する年度の4月1日時点で満17歳以上の日本国内に居住する男性であれば、受験可能です。年齢制限の上限はありませんが、下記のいずれにも該当しないことが条件となります。
- 競輪選手として登録された者(消除者を含む)
- 禁錮以上の刑に処せられた者
- 自転車競技法、小型自動車競走法、競馬法、日本中央競馬会法又はモーターボート競走法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者
- 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者
- 反社会的勢力との関係が疑われる者
- 2018年度以前に日本競輪選手養成所(旧日本競輪学校)に在籍したことがある者で、日本競輪選手養成所規則第15条(旧日本競輪学校校則第18条)に定める在籍期間相当の期間を経過しない者(経過していても、在籍中懲戒により退所を命じられた者)
- 2019年度以降、日本競輪選手養成所に在籍したことがあり退所を命じられた者
なお、女性の場合も男性選手と同じく、日本競輪選手養成所に入り、競輪選手資格試験に合格しなければなりません。養成所の入学試験も、男性選手とほとんど同じ内容です。
取得にかかる費用
日本競輪選手養成所の受験にかかる費用は、5,000円です。
競輪選手はどんな人におすすめの資格?
競輪選手になるには、強靭な肉体や身体能力を持っていなくてはならず、一度階級が上がったとしてもレースでの負けが続くと、降級することもある厳しい職業です。階級が下がれば賞金も下がる不安定な側面と付き合い続けなくてはなりません。
また階級が上がれば優勝の難易度も上がるため、常にトレーニングを続け、精神面を強化し続けるストイックな人が向いているといえるでしょう。
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
競輪選手の資格管理や試験の実施を行っているのは「公益財団法人 JKA」で、養成所の入学試験を行なっているのは「JIK(日本競輪選手養成所)」です。それぞれの試験の受験日程や必要な手続きは、下記のHPからご確認・お問い合わせください。
まとめ:「競輪選手」はストイックな訓練を続けて高額賞金を狙う、プロのアスリート!
競輪選手になるには、合格率およそ倍率10倍(女性は約2倍)の日本競輪選手養成所を受験し、パスする必要があり、さらなるトレーニングで「JKA」に選ばれる選手になるまで鍛錬を重ねなくてはならない、非常に狭き門です。新人のうちは大きな収入は見込めませんが、階級が上がれば高い賞金のレースに参加できるようになるので、大きな夢にチャレンジしたい方はぜひトライを。
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