下水道の整備工事など基礎工事の現場では、振動や騒音などの建設公害や環境への影響が課題となっています。こうした課題を解決するために、工事の質を高める知識や能力を持った人が取得できる「圧入施工技士」という資格があります。
この記事では、圧入施工技士について受験資格の要件や必要とされる知識や経験を紹介します。
圧入施工技士とは、どんな資格?
圧入施工技士とは、圧入施工の現場責任者として保全に必要な指導・教育および施工管理・進捗管理を行うための資格です。圧入施工技士の資格は、厚生労働省によって杭圧入引抜機の取り扱いや技術に関する技術認定がされており、建築現場における質の高い基礎工事の実施に必要とされています。
圧入施工とは、下水道の整備工事などで必要とされる技術です。基礎工事では、振動や騒音などの建設公害や余分な排土や泥水が発生することが問題視されています。一方、圧入施工を用いた基礎工事であれば周辺の環境に及ぼす振動や騒音、地盤への影響を小さくすることができ、汚泥が発生しにくいというメリットがあります。
圧入施工技士試験は、一級圧入施工技士と二級圧入施工技士があります。なお、平成28年7月に圧入協会が一般社団法人へ移行したことに伴い、本資格の名称は「圧入施工技能審査」から「圧入施工技士」へと変更されました。
学ぶ知識・技術
圧入施工技士試験の一級圧入施工技士と二級圧入施工技士では、習得する知識が異なります。
- 一級圧入施工技士
- 圧入施工に関して豊富な経験と非常に高い技術を持っている人が取得できる資格です。圧入施工に必要な基礎工学の知識を有し、作業者の指導・教育をします。
- 二級圧入施工技士
- 圧入施工に関して多くの実績と高い技術を持っている人が取得できる資格です。工事現場では、責任者として施工管理・進捗管理ができます。
- 特別教育講習修了者
- 全国圧入協会が労働安全衛生法に基づき実施している杭圧入引抜機の特別教育を修了した人を指します。杭圧入引抜機を安全・確実に操作することができます。
資格の取得には学科試験と実技ペーパー試験に合格する必要があります。
- 学科試験(択一式・選択式)
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- 圧入工法に関する事項
- 圧入機に関する事項
- 土木一般に関する基礎知識
- 実技ペーパー試験(選択式・記述式)
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- 積算
- 施工管理
実技の作業試験は、工事現場に近い条件設定と操作ができる「圧入機運転シミュレータ」を使用した試験です。モニターの画面上でサイレントパイラーを操作し、採点されます。受験者には、あらかじめ「圧入機運転シミュレータ」の体験版データが送付されます。
圧入施工技士で目指せる職業、就職先は?
圧入施工技士の資格を取得すると、主に下水道工事業や建設業への就職が見込めるでしょう。
圧入施工技士になるとどんな悩みが解決できる?
圧入施工技士になると、次のような悩みや問題の解決に貢献できます。
- 圧入施工技士が解決できること
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- 作業者への指導・監督を行うことで、現場の技術力が向上する
- 安全で効率的な基礎工事を進める
- 周辺の住民への振動や騒音が伝わることを防ぐ
圧入施工技士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
圧入施工技士の資格を取得するためには、一級と二級それぞれで下記の受験資格を満たす必要があります。
- 一級受験資格
- 次のいずれかに該当することが要件となります。
- 労働安全衛生法に基づく杭圧入引抜機の特別教育を修了し、8年以上の実務経験者で満26歳以上であること
- 二級取得後5年以上の実務経験者で満26歳以上であること
- 二級受験資格
- 労働安全衛生法に基づく杭圧入引抜機の特別教育を修了し、3年以上の実務経験者で満21歳以上であること
- 実務経験者とは
- 圧入に関する次のいずれかの実務を経験した人を指します。
- 工事全般にわたる監督指揮および完成品の品質管理
- 杭圧入引抜機の操作及び保守点検
- 圧入作業及び引抜作業への従事
- 圧入引抜作業計画書の作成
取得にかかる費用
圧入施工技士の試験の受験料は、一級と二級で下記の通りです。
- 学科試験
- 一 級が10,000円、二級が8,000円
- 実技試験
- 一 級が50,000円、二級が30,000円
圧入施工技士はどんな人におすすめの資格?
圧入施工技士とは基礎工事で使われる圧入技術に関して、厚生労働省が認定する資格です。下水道工事など生活に密接な工事に関する資格ですので、下水道整備や建築の現場などで重宝されます。
環境や周辺住民への影響を考慮し、質の高い基礎工事を行う圧入施工技士の需要は高いといえますので、今後もニーズのある職種でしょう。
圧入施工技士は、責任者として社内や現場から信頼される人材です。会社によってはスキルアップとして圧入施工技士の資格取得を取り入れていることもあります。
- 圧入施工技士の資格取得がおすすめな人
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- 基礎工事による環境への影響を最小限に抑えたい人
- 基礎工事による周辺住民への振動や騒音を抑えたい人
- 責任者として、現場における技術力と効率を向上させたい人
- 下水道整備業や建築業でキャリアアップ・スキルアップを目指す人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
圧入施工技士の資格は、一般社団法人 全国圧入協会が管理しています。試験のスケジュールや申込については下記のHPを確認してください。
まとめ:環境や人にやさしい基礎工事の責任者になろう
圧入施工技士になると、下水道整備などの工事現場の責任者として質の高い基礎工事の施工を進めます。圧入施工技術では、基礎工事で起こりがちな振動や騒音などの問題を防ぐことができますので、現場だけではなく周辺住民への貢献も可能です。工事や建築現場の責任者としてキャリアアップ・スキルアップを希望する人は資格取得を検討してみてはいかがでしょう。
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