航空機のエンジンや燃料系統などの機器類を点検するプロフェッショナル、「航空機関士」をご存知でしょうか?今回はこの航空機関士とはどんな資格か、取得の方法や活躍の場などを紹介していきます。
航空機関士とは、どんな資格?
航空機関士とは、航空機に乗ってエンジンや機体、燃料系統などを点検し、安全なフライトを確保する専門職です。大型旅客機は燃料・電気・油圧・航法・空調与圧・離着陸・防除氷・高圧空気・消火といった複数のシステムの集合体であり、航空機関士は航空機に乗って、システムの監視や緊急故障の対処などを行います。
ただ、航空機の機器類は電子化・自動化が進み、日本の航空会社が運行する旅客機は全て航空機関士の乗務が不要な機種となりました。90年代には航空会社が航空機関士のリストラを実施し始め、配置転換やパイロットへの職種転換を余儀なくされました。つまり今、航空機関士という職業は事実上消滅しています。
しかし、自衛隊などで使われる航空機は航空機関士の知識・技術を必要とする機種が存在しており、未だに活躍の場は残っています。陸上自衛隊では「機上整備員」という別の名称で呼ばれ、輸送ヘリを使って積載物資投下の補助をしたり、搭載器材の整備や操作をするのが主な業務内容です。
学ぶ知識・技術
航空機関士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要があります。学科試験と実地試験、それぞれで下記の知識・技術が問われます。
- 学科試験
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- 航空力学ならびに重心位置計算
- 機体知識
- 発動機知識
- 装備品知識
- 航法
- 航空気象
- 航空通信
- 航空法規
- 実地試験
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- 機体・発動機・装備品の取り扱い・検査
- 発動機制御及び燃料計算
- 故障の際の措置
航空機関士で目指せる職業、就職先は?
前述の通り、現在は航空機関士として働く場がないため、資格を取得しても就職が有利になることはほぼありません。陸上自衛隊で機上整備員として活躍したい人であれば、資格取得をするメリットは多少ありますが、資格試験の受験者はかなり少なくなっています。
航空機関士になるとどんな悩みが解決できる?
航空機関士の資格を取得すると、下記のような悩みの解決に役立つ可能性があります。
- 航空機関士が解決できること
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- 航空機器のシステムの監視、緊急故障の対処などを通じて、パイロットが操縦に専念できるようにする
航空機関士の資格を取れる人はどんな人?(取得条件・受験資格)
航空機関士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要がありますが、この試験を受けられるのは、「18歳以上で100時間以上の実地練習を経た人」です。
取得にかかる費用
航空機関士の試験にかかる受験手数料は、下記の通りです。
- 学科試験
- 5,600円
- 実地試験
- 52,300円
航空機関士はどんな人におすすめの資格?
航空機関士は、下記のような人に取得がおすすめの資格です。
- 航空機関士の資格取得がおすすめな人
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- 航空機器の点検業務に興味があり、知識や技術を深めたい人
- 陸上自衛隊で機上整備員として活躍したい人
どこが管理している資格なの?(問い合わせ先・管理団体)
航空機関士の資格を管理し、資格試験を実施しているのは、「国土交通省」です。現在は受験者数の減少を踏まえ、詳細を積極的に公開していませんが、不明点などがあれば下記のHPから問い合わせましょう。
まとめ:航空機関士は、現在需要がほぼなくなりつつある国家資格
航空機器の電子化や自動化に伴い、国内では航空機関士として働ける場は残念ながら存在しないのが現状です。航空機に携わる仕事をしたい人は、他の有効な国家資格の取得を目指したほうが堅実でしょう。
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